誰も知らない
日本での公開は数年前だったようだけど、誰か観た人いるかな~?
YOU演じる母親が、4人の学齢期の子供を家に置き去りにしたまま男のもとへ失踪。
途中には、次女の不慮の死もあったりして、社会的に無力な子供たちの声にならない嘆きで、後半はかなりウルウル。
この映画を一緒にDVDで観たとってもアメリカ娘なアン・マリーは、
「こんなの悲しすぎる!最後はハッピーエンドになってくれなきゃ!」と、おしまいのテロップがスクリーンに流れるまでこぶしを握って力説していたけれど、ハリウッド映画からかけ離れたこの重さは、私にとっても久々だ。
映画を観ながら思い出したのは、去年の暮れの出来事。
夜になってドアをノックする人がいると思ったら、近所の家のお手伝いさんと、ジェイの遊び仲間の男の子。
「この子の3歳になる誕生パーティーをするんで、よかったらぜひ来てください。ケーキも買ってありますから。
…お母さんはロス・エスタードスに行っちゃって、子供達だけなんですけれど。」
随分とヘンな時間に子供のパーティーをするもんだなぁ、週末だからお母さんはバーに飲みにでも行ったのかしら?と思いつつ、
家にあったものの中から急いで適当なプレゼントを見繕って行ってみたら、本当に子供しかいなかった。
当人の男の子と、4歳のお姉ちゃんと、近所の女の子、それとジェイ。
チョコレートケーキを囲んで、ハッピーバースデーの歌を歌って、蝋燭を吹き消して…、とまぁ手順は普通なんだけど、でもやっぱり何かヘン。
世間話のついでに、お手伝いさんに「で、お母さんはどこへ?」と、早口のスペイン語でさっきはよく聞き取れなかった部分をもう一度聞いてみると、
「えぇあの、ロス・エスタードスへ…」
「???…ロス・エスタ~ドス・ウニドスですかいっ!?」と思わず身を乗り出して確認しちゃった地名は、何とアメリカ合衆国!
だってさ、残された子供たちはティーンエージャーとかじゃなくって、3歳と4歳だよ!それに今日は息子の誕生日だよー!
同じく子供を持つ母親として動揺しつつ、しかしさり気に「で、アメリカのどこへ?」と聞くと、
「それが私にも分からないんですよ~。昨日突然、2週間ほど行ってくるワ、って出かけたもんだから。」と、さらに私を動揺させる会話が。
この家庭、コロンビア人のお母さんは歯科助手として日中働いていて、子供達の面倒はほとんどそのお手伝いさんが見ている母子家庭。
だから、子供達も慣れているって言えばそうなんだけど、でも、まだまだ手の掛かる母親の恋しい年齢の子達だよ、それに他人に預けて万一何か、事故とか病気とかあった時にどうする?って考えないのかな?
甘あまのケーキを頬張りつつ、私の頭の中ではそんな疑問が回るばかり。
子供達のお父さんという人は、いつか将来家族を呼び寄せるべく、今はフロリダで(おそらく不法に)働いていて、
飛行機代として少しまとまったお金が出来た彼女は、彼に会いたいが一心で文字通り飛んで行ったらしい。
しばらくして、アメリカから帰った彼女が子供達に買ってきたというお土産の靴は、この辺りではちょっと売っていないような、最新型のデザイン。そして、3歳と4歳という子供たちの足にはかなり大きいものだった。
彼女だって、子供達を溺愛しているのは、傍目にもよく分かる。
でも、母親としてのバランス感覚が、私には理解できない人ってのもいる。
映画を観て、そんなことをちょっと思い出した。

