カンフー・パンダ :私がラーメンを茹で続けるわけ

ドリームワークスの新作映画、カンフー・パンダが子ども達に人気である。
ディズニーピクサーのウォーリーも、R2-D2もどきのオチャメなロボットを主人公にして、子どもの客層狙いは顕著だが、
うちの子やその友達の反応を見る限りでは、「ハァァァァーッ!」とか言って飛び蹴りでリビングを破壊できるカンフー・パンダの方に、勝敗はあがっているらしい。

すっかりカンフー・マスターのつもりでいる子ども達に、ある日聞いてみた。
「今日のお昼、トルティーヤのランチとカンフー・パンダ・ラーメン、どっちがいい?」

アンパンマン・カレーだって、ハローキティ・プリンだって、唯の食いもんがキャラクターとくっ付いただけで売れるのダ。
だから家庭内でだって、時には子どもゴコロをマーケティング。
麺の上にゆで卵とほうれん草と人参を乗っけた、つまりは何の変哲も無い醤油ベースのラーメンは、その日見事に完食御礼となったのだった。

この映画の主人公のパンダくん、カンフーの達人を目指しているも、現実はメタボ街道まっしぐらのドテッ腹を抱えて家業のラーメン屋を嫌々手伝う日々。
前の晩に見たカンフーで爽快に相手を打ち負かす夢に酔いしれていても、少しは腰をすえてラーメン屋に精を出して欲しい父親(なぜかトリ)の前に出れば、「昨日見た夢は・・・ラーメンの夢!」、などとでまかせを言って父親をムダに感動させたりする煮え切らないヤツなのだが、
ラーメンはそんなパンダくんが運ぶカンフーの国の味として、ストーリーにまさしくひと味添えているのだ。

最近、ジェイの友達の間ではすっかり、「カンフー・パンダ・ラーメンを作るおばさん」として認知されてしまった私。
フォークで食べている子ども達を前に、自分だけ二本の箸で食べているとそれだけで尊敬を浴びるのはちょっといい気分だが、
映画の影響で、ズズズズーっと大きな音を立ててスープを飲み終わった子ども達が、皆一様に麺一本を鼻の下に垂らして「グラシアース!(ごちそうさま!)」と言う習慣だけは何とかならないものかと苦笑してしまう。

ある時、昼食時の頃合を見計らって茹で上げたラーメンなのに、遊びに熱中してなかなかテーブルに着かない子ども達に業を煮やして、手近にあった大きなアルミのトレイを思い切りゴーン!と叩いてみたら、偶然にも、なんとも荘厳なドラのような音が家中に鳴り響いてしまい、
その日以来、ラーメンの昼食時にはドラを鳴らして呼び集めるという習慣が、彼らの間に出来てしまった。

こうして私のちょっとした行動が、間違った東洋の文化を周囲の人々の間に広めていくのは、ま、よくあることである。

中国の一部では、崇高な精神を持つカンフーの師匠がアライグマだとはけしからん!なんていう評判もあるらしいけれど、そんなあげ足取りはこの際置いておいて、
エキゾチックな東洋の武術は、いつでもどんな国でだって、男の子たちにとっての大きな憧れ。
そんな彼らを応援するべく、私はここグアテマラで、日々ラーメンを茹で続けているのである。

カンフーパンダ
マクドナルドのハッピーセットだって、カンフー・パンダ!

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