とある小さな国の幼稚園
ジェイの手を引いてクラスのドアの前に立つと、満面の笑顔で迎えてくれた恰幅のいい先生と、小さな椅子に緊張した面持ちでちんまりと座っている子どもたちの姿が、好対照で印象的だった。
しかしながら、うちの子がそんなに大人しく教室に残ってくれる筈もない。
私がその場を去るのを察知するや、あの大音響で泣き出そうとしたその直前!、
私の背後に逃げ込む隙を与えずにむんずと抱き上げ、あの笑顔のまま教室の後ろに連れて行ったベテランの先生。
その手腕の見事さに、初日から新米ママの私も圧倒される。
萎縮して静かに座っていた10人弱の子供たちには、一体これからどんな恐ろしいことが起こるのかと、さぞかし脅威を与えたに違いない。
ジェイが通うことになったのは、家から歩いて20分ほどの公立の幼稚園。
この国の公立の施設なわけだから、アメリカや日本のような至れり尽くせりな設備はないけれど、でも、この国の生活水準からするとかなりいいレベルを行っている感じがする。
実際、もう一軒見比べた私立の幼稚園よりも遊戯設備が充実しているのはきっと、海外からの資金援助があるから?と思ってみたりもする。
しかし、なんてったって公立だから、通ってくる子供達はうじゃうじゃいる。
日本のように、定員がどうの待機児童数がどうのなんて細かいことは言わずに、来たい子は皆いらっしゃ~いって姿勢だから、人気のある年長さんのクラスなんて、一クラス2、30人くらいは居るらしい。
この幼稚園、最初に掛かる年間登録料が約400円。
紙とかクレヨンとか、一年で使う教材を各自で揃えなきゃならなくって、これに約1000円。
そして、毎月の授業料が(笑っちゃいけない)300円!。
教育費にアタマが痛い日本の親御さんたちには、ホントに申し訳ないような額なんだけど、
それでも、この辺りの庶民の考え方からしたら、
「子供を遊ばせるのにお金を払うだなんてもったいない。路地で遊んでいる分にはタダだし。」
というのがまだまだ多いのだから、この年齢から子供を幼稚園に通わせているのは、割と余裕のある家庭ってことになる。
それにしても、私がちょっとだけ不満なのは、園にいる時間が短いこと。
特に、年少さんのジェイのクラスなんて、2時間半で帰ってくる。
今週は慣らし週間ということで更に30分短いのだから、ハハとしてはそりゃあもう忙しい。
スーパーで買い物して、家に帰って食事の下ごしらえして、メールでもチェックしたらもうおしまい!
あまりに短すぎて、ここ3日連続でお迎えの時間に遅刻している。
しかし、短くたって何だって、とーっても貴重なこの時間。
この時間の甘美さは、何物にも代えられないと思う。

