落第させてください
6月も半ばを過ぎてもう7月!と思ったら、子どもの世界では既にどっぷり夏休み。
実はここグアテマラでは季節が逆で、今は冬の区分けになっているから、正確にはこれは冬休みと言うんだろうが、
どのみち、アメリカの学校システムに準じて3ヶ月近く!もある休みを、エネルギー溢れる子どもと一緒にいったいどうやって乗り切ろうか、というのが親たちの思案のしどころだ。
休みに入る直前にあったのが、先生と親との昇級面談。
お受験のある学校じゃあるまいし、幼稚園から小学校へあがるにも適正チェックをパスしないといけないだなんて、こんなちっこい子ども相手に、能力の差もないもんだろうと私は思うのだけど、
17名のクラスのうち、来年度の落第が決定した子は約2名。
幼稚園の年長さんともなれば、クラス全員で「一年生になったら~♪友達ひゃくにん出来るかな~?」と、声を張り上げていた自分の小さい頃を思い出す。
あのワクワク感を思えば、仲良しのクラスメイトと一緒に上の学年へ行けないだなんて、子ども心にもさぞかしショックだろうと想像するのだけど、
聞けばそのうちの一人のドイツ人の男の子は、親が先生に「お願い」して進級させないことにしたらしい。
学年が変われば上のクラスへ行くのが当たり前、な日本で育った私にすれば、こんなところでふと感じる国民性の違い。
年齢によって上下関係があったり、言葉遣いが変わったりする日本の社会では、なかなか難しい考え方だけれど、
ドイツ人の親にしてみれば、成長を急ぐよりもゆっくりと確実に教育を身に付けさせたいといったところだろうか。
しかしそれにしても、その子は弱冠まだ6歳だ。
インターナショナルスクールを運営する先生の側としても、難しい問題は色々とあるらしい。
例えば宿題ひとつにしても、ある国のお母さんはもっと出して欲しいというし、また他の国のお母さんは、子どもはもっと遊ぶ時間が必要だから宿題は減らすべきだとなる。
皆それぞれ自分が育ってきた環境を基に考えているから、これは国によって大きく違うのは当たり前。
学校なんて小さな社会ではあるけれど、こうなるといっぱしの国際社会である。
それに対応する先生としても、相当に強い信念をもって接しないと、親達に翻弄されてそれこそ収集がつかなくなるらしい。
そういえば、日本語では「落第=落ちる」という言葉を使うところ、英語では「ステイ=留まる」と言うのも、考え方の違いな気がする。
ちなみに、小学校5年生のその子のお兄ちゃんも、来年度はやはりステイ組。
決して、能力が並みより劣っているとは思えない、むしろ熟考型の思考を持った賢い子だと私には思えるのだけれど、親としては何としてももう一年、同じ学年をやらせたいと先生に頼んだらしい。
彼の場合、親の意向により以前もステイしているから、来期は、自分の年齢よりも2つも年下のクラスメートと一緒に机を並べることになる。
しかし、いかにもドイツ人らしく、質実剛健な身体を持ったそのお兄ちゃんが、ひとまわりもふた周りも小さな子たちと遊んでいるところを見ると、
日本人の私としてはやはり、「なんだかなー」と腑に落ちない思いを感じてしまうのだった。


