季節感をはぐくむ

ここは中南米。とある小さな国のお話。

ここのところ、ようやく少しばかり涼しかった。
カニクラに入ってからというもの、それはそれは暑い日が多かった。

こういう気候のいい場所に住んでいると、人間というものは甘やかされ過ぎて、ちょっとした寒暖の差にでも文句を付けたくなってくるものらしい。

雨季の間などは肌寒い夜などもあって、「昨晩なんて寒くて、暖炉に火を入れちゃったわよぉ。」と道端で話していたのが、
このところでは「何でこうも毎日暑いのかしらねぇ」などと炎天下の道端で挨拶を交わしたりする。

正確に測ったことはないけれど、暑い寒いのと言ったところで、寒暖の差はたかだか15℃くらいなものだから、日本の夏のたまらない蒸し暑さや、骨に凍みるような冬の寒さを知っている私達からしたらどうってこともない。

…な筈なのだけど、私ももはや日本の夏は過ごせないよなぁなどと、連日の猛暑のニュースを聞くたびに思っている。

四季のない国に住むなんて、以前は想像もできなかった。

住んでみると確かに楽。季節の衣替えも必要ないし、冬に風邪をひくこともない。でも、
夏にはやっぱり花火大会を見なきゃ、秋には紅葉狩りに行かなきゃ、クリスマスには寒くなくちゃ、春には桜が咲かなきゃ、とも思うのだ。

季節の風物詩が好き。その季節によって浮かんでくる光景や音や匂いなんかが、たまらなく好き。

こういう記憶を身体に染み込ませてくれた日本に生まれてよかったと思う。

季節の乏しい国で育つうちの子は、将来どんな五感を持つのだろう…。

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