隙間にハマった男の話 ベニート・フアレス国際空港@メキシコ
星新一の不思議ストーリーではないけれど、現代国際社会の隙間にぽっかりとハマり込む人ってのも居るらしい。
メキシコの玄関口である国際空港に、9月2日から滞在を決め込んでいるヘンな日本人の男性ひとり。
と聞くと、トム・ハンクス主演の映画ターミナルを連想するだろうが、こちらはもっとムサくてヘンテコリンな男性の話だ。
ムサいのはもちろん、ずっとシャワーを浴びていないから。
ヘンテコリンなのは、彼がそこにいるワケが、あの映画の主人公のように異国へのドアーを閉ざされたからではなく、
「自分でも何故ここに居るのかが分からない、理由なんてない」って点。
石の上にも三年、否、国際空港にも3ヶ月以上居れば何か得られるものなのか?この答えは、彼を見る限りではイエス。
このノハラ・ヒロシ氏が得たのは、空港のファーストフード店や旅行者からおすそ分けされる食べ物と、奇妙な名声だ。
身体から発する異臭と只者らしからぬ風体に、最初は日本大使館に問い合わせがあった事態も、
最近では、ほぼ連日の取材攻勢がメキシコ人の好奇心を煽ってか、フードコートを利用する人々からサインや記念撮影を頼まれるほどの有名人だ。
BBCのニュースを見る限りでは、実は以外と若くって、耄碌するほどの歳も行っていないんじゃないかと思うこの人。
飄々とインタビューに答えているにしては内容が無いところを見ると、かなりのクワセモノっぽい感じもする。
ま、宣伝効果を狙ったファーストフード店から自社のロゴの入った無料のコーヒーカップや帽子が提供されている、ってのも、そのクワセモノ感を倍増させる一因ではあるのだが。
誰に迷惑を掛けているわけでもなし、ただそこで食って椅子で寝ているだけのこの男に対して、来年の3月初めにビザが切れるまでは、法的には誰も彼に立ち退きを要求することはできないんだそうだ。
いつまで居続けるか分からない、と言いつつも、ビザの延長をする気もないらしいこの男。
近々メキシコ方面に出掛ける予定のある人は、帰路線で、万が一にもこの人の隣の席などブッキングされないように気をつけよう。
エコノミークラス症候群で血栓が詰まるだけでなく、強烈な臭いで鼻が詰まること請け合いだ。
「ザ・ターミナル2? メキシコの空港をねぐらにした男」
‘The Terminal 2’ ? Japanese man makes airport home

