よその人々 ハリケーン・スタン 3日目

この街にとって運の悪いことに、月の前半にあった祭りのために来ていた移動遊園地が、今回の被害で足止めされている。

いつもの年であれば、大小さまざまの観覧車が何台も立ち、子供用の乗り物や、綿菓子屋さん、おもちゃを売る店や仮設のゲームセンターなどがところ狭しと並び、
この祭りのためにお金を貯めていた人々が一斉に街に繰り出して、陽気に使いまくる!という時期なのだが、今年はその祭りの本期間中は連日の雨模様。
後半は、ハリケーンのお陰で客足も途絶え、期待していた収入もなく、しかも他の街へ行こうにも動きがとれないという、彼らにとっても最悪の事態となったのだ。

日本で言えば縁日の的屋さんのような稼業人たちの中に、ちょっと一般とは違った人たちが混ざっていたりするのは世界共通のようで、そんな一部の人たちが、小銭欲しさに近くの店に押し入ったというわけらしい。

この街で、至極まれに凶悪事件が起こるのは、こうした祭りの時期など、必ず外部の人間が街に入り込んでいるときだ。
こう考えると、何とまた間の悪いときに、災害が起こってしまったものかと思う。

こうした動きを察知してのことか、前日から引き続き、軍隊が街の要所に配置されている。
地元の人の話を総合すると、昨夜私が暗闇の中で見た若者たちは、どうも町内毎に結成した自衛団の一群だったらしい。

道は相変わらず復旧のめども立たず、街は孤立したまま。
今夜もまた同じ夜が始まるのかと、その夜は荷物を足元にまとめてベッドに入った。

しかし、街を上げての厳戒態勢が功を奏したのか何なのか、その夜以来、銃声も強盗の被害もぴたりと止んだのだった。

コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

このコメント欄のRSSフィード トラックバック URI

コメントをどうぞ

改行と段落タグは自動で挿入されます。メールアドレスは表示されません。利用可能なHTMLタグ : <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong>

(必須)

(必須)