黒蜜の誘惑

ここ数日のささやかな楽しみが、数箇所に仕掛けたアリの巣コロリをチェックすること。
小さな容器の中央に入っている餌をヤツらがお持ち帰りしている様子なんぞ、見る方としては拍手喝さいものだ。

新しく家を借りて、真っ先に掃除したのがキッチン。なにせ、砂糖つぼがひっくり返っていて、黒山のアリだかりだったのだからもう大変。
前の借り手が去ってからの数ヶ月間、このキッチンはアリたちの酒池肉林の場だったに違いない。

日本の友人から、最強のアリ撃退法!だと聞いた「アリの巣コロリ」が届くまでの数週間、毎晩のようにアリ潰しに立ち向かった。
「生き物は大切に」と教えている手前、もちろんジェイが寝た後の話だ。

襲撃してくるアリはとにかくデカイ!
日本でよく見かける黒いアリの2倍はあろうかという体長で、身体はアメ色に茶色く光り、潰すとプチンッと体液がジューシー。

床にいるだけだったらまだ我慢もできるが、壁まで這い上がりベッドルームに侵攻しようとするのを、そうはさせるかと一匹ずつ叩き落としてやる。
しかも指で弾くと時には手に伝わってくる輩もいるので、ティースプーンで叩く。
叩き落されて、ショックから立ち直っていない瞬間を踏み潰すのがコツ。

しかし、サンダルの裏で潰すのだって気色悪いのに、暫くすると床のあちらこちらに残骸が溜まったのを、箒でまとめて掃き出すのだってウゾゾゾゾ~ものだ。

こっち側の壁だけに気を取られていると、向こうの隅からやってこられたりして、アリごときにまったく気が抜けない。
これはちょっと、昔懐かしのインベーダーゲーム気分in壁でグアテマラ・・・。

毎晩食べ物のカスも残らないように掃除して、それなのに1週間経っても2週間経ってもヤツらは徒党を組んで毎晩やってくる。
アリのあんな小さな脳細胞にも、砂糖出血大サービスの甘い記憶はふか~く刻み込まれているらしい、と妙に感心したりもする。

3週間も経って、こちらの戦闘意欲も底をつきかけた頃、とうとう日本から救いの神がやってきた!

今夜で3日目だけど、その効果はかなりのもの。
パッケージを読むと、甘い黒蜜の香りと書いてあった。エキゾチックな日本の味はこっちのアリにも大ヒットらしい。

群がるアリたちを見ていたら、急にあんみつが食べたくなった。

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