憧れのウェディングブーケ:カラー
ここは中南米、とある小さな国のお話。
不満も多い小国の暮らしではあるけれど、ここに住んでいて良かったなと思える小さなことのひとつが、少ない出費で毎日家に花を飾れること。
東京ひとり暮らし時代には叶わなかった、こんなちょこっと贅沢感が何ともウレシイ。
市場に行けば、野菜や精肉に混じって、彩り華やかな花たちがたくさん売られている。
小菊やカスミソウは年中見かける花だけれど、こっちの花の多くは、季節によって大量に売られたり忽然と姿を消したりする。
今はちょうど、真っ白なカラーの季節。
日本やアメリカでは高級なこの花も、ここでは信じられないくらいの安さだ。
今日も、素焼きの壺に生けられる分だけ買ってきて、一抱え60円也!
そう言えば、数年前にこの土地で結婚式を挙げたカップルが、ウェディングブーケに選んだのもこの花だった。

それぞれこの辺りの国を一人旅していた折にこの街で出会い、その後ひとりは旅を続け、もうひとりは仕事のため自国に帰ったものの、オーストラリアとイギリスという距離を超えて、運命の二人は一年半後にゴールイン!
両方の家族や親戚も呼んで、盛大な式を挙げたのが、二人が最初に出会った思い出の土地、このアティトラン湖畔だったというわけ。
新婦がイギリスでオーダーしたという、スレンダーなデザインのウェディングドレスは、ドレスの裾がまるでカラーの花のようにシャープに広がっていて、
シルクのドレスの前を飾っていたのは、無造作に束ねただけの白いカラーのブーケ。
実はカラーの花は、この辺りの絵画でモチーフとしてもよく使われるくらい、この土地に浸透している花でもある。
つまり花嫁は、ウェディングブーケにもこの土地への想いを託したってわけ。
こんな素敵なセレクトだったら、私も純白のウェディングドレスを一生に一度でいいから着てみた~い!と、ダンナを横に思ってしまったのだった。

