テクン・ウマンの日
ここは中南米。とある小さな国のお話。
日付は少しさかのぼって、2月の下旬。
ハハ・チニこと私は、民族衣装を探して午前中いっぱい街を走り周っていた。
元はと言えば、以前幼稚園から渡されていた連絡事項を、「スペイン語でよく訳分からんし…」と言ういい加減な気持ちで流し読みしていたからで、
「うちの子にはこ~んなカワイイ衣装を用意したのよぉ!」という、ウキウキしたママ友の言動から、
なにやら子供にマヤインディアン風の格好をさせなければならないらしい、と察したのは、その前日の夜だった。
平素から女性の多くが民族衣装を身に着けている場所柄、子供ものだって女の子のを捜すのはそう難しくない。
しかし問題なのは、うちの場合のように男の子。
TシャツにGパン姿が一般になっている昨今では、伝統衣装が簡単にそこいらの洋品店で売られているはずもなく、
ガイジンのお土産用に売られていたとしても、パンツだけとか、シャツのみとか、サイズが合わずとか…。
今回のように全身トータルコーディネイトを決めるには、目星をつけた店を何軒も周らなければならなかったのだった。
鳥の刺繍が綺麗なサンティアゴ・アティトラン村の衣装がいいなぁ、なんて思っても、ズボンは売っているんだけど臙脂色のシャツが見つからなくてダメ。
うちの子はソロラ生まれだから、やっぱソロラっ子の衣装にしておくか、なんて思っても、ズボンとお揃いの極彩色のシャツのサイズがなくてダメ。
足を棒にしてようやく手に入れたのは、地味目なサンアントニオ村の民族衣装の上下。
服は揃ったものの、今度は伝統の着せ方が分からなくて、結果的にはかなりモダンアレンジ風な着こなしとなってしまったけれど、
午後の2時から始まるパレードにギリギリ間に合ったことが、その日のハハ・チニとしては最大の安堵だった。
集合の場所に集まってきたのは、それぞれ異なる村の民族衣装を着せられたちっちゃい子供達。
キューピーさん体型の幼稚園児ばかりだから、人形たちが隊列を組んで練り歩いているようで、それはかなり可愛い~!
なんでもその日は、今は亡きインディオ達の英雄テクン・ウマンを祝う日だそうで、民族衣装には自分達のルーツへの想いが込められているらしい。
「君たちはまだ小さいから分からないかもしれないけれど、これはとっても大切なことなんだよ。」
そんな思いが、見ていて心をよぎった一日だった。



本日のベスト可愛い大賞をあげたい!目いっぱい着飾ったアンドレアちゃん

