優良物件探してます:タトゥー屋

…つづき
期待の持てないところにはこれ以上期待しないように、頭を切り替えて、次の不動産情報に向かう。
次に会ったのは、不動産屋業とともに公立小学校前の路上でインスタントタトゥーをしている女性。

パン屋やらタトゥー屋やら、自分が家を探しているとは到底思えない、でもそんなところがこの街らしくもある。

そのタトゥー屋のオバちゃんは、…とっても魔女ちっくだった。

さすがは、
「緑の葉っぱを大量に自家栽培して、大捕り物の末捕まって、賄賂の保釈金をしこたま払って自由の身になったがとたん、袖の下を払ったお偉いさんが交通事故で死んでしまって、新たに任務に就いた人にまたまた支払わなければならなくなった」友人の、
知り合いだと思った。

そのオバちゃん、私の顔をじっと見つつ、
「川の向こう側(パナは大きく分けて、街の中心がある川のこちら側と、もう少しだけ物価の安い川向こうと、二つに分かれている。)ならたくさん物件もあるんだけどねぇ、でもアナタは川向こうには住みたくないでしょ?」
と言うので、
「いや、この際、気に入る家があるのなら向こう側でもいいです。」と答えたところ、
「いいえっ!アナタはあちら側には住みたくないはずよっ!」と、いきなり啖呵を切られた。

「去年流された下流の橋はもちろん、また雨が大量に降って、唯一残った大橋まで流されたらどうするのっ!
こちら側から切り離されて食糧もなくなって、小さな子供を抱えてアナタ一体どうするの? えっ?ええっ!?

いや、あの…、仮にそうなったとしても、今後そこまで深刻な状況になるとは色んな理由からして、思えないんですけど…。
しかし、魔女本来の姿に豹変したオバちゃんを前にそんなことはひとことも反論出来ず、私が浅はかでございましたと反省の色を見せつつ、思考する魔女の前で待つこと数分間。

「アナタにはこっちの方角が向いているわね、こっちにある家としては、あそことあそこと、あぁ、でもあそこはもう塞がってるし…。」
結局、何か見つかったら連絡してあげるから、ということで追い返された。

…パン屋のオヤジよりは期待が持てそうな気がする。

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