バッド・カルマ?
長らく空き家だった隣の家に、人が越してきた。
それ自体はまぁ、喜ばしいことなんだけど、引越しそばの代わりにお隣りからやって来た模様なのが、何とネズミたち。
新しい住人が倉庫となっていた部屋を片付けたり、廃材を動かしたりした結果、
もはやそこには住みづらくなったネズミ一家が、新天地を求めて選んだのが、我が家だったというわけらしい。
よく集合住宅で、バルサンを焚いたらゴキブリが周囲の部屋に四散してしまって苦情を言われた、なんて話を聞くけれど、
これはまさにそのグアテマラ版。
しかも、日本では生粋のマンション育ちの私。ゴキちゃんは平気でも、ネズミさんとは今まで縁がない。
物置にあったネズミ捕りで、最初の一匹目は割と簡単に捕まった。
残りの数匹もそのうちに捕まるかな、などと淡い期待を込めて見守っていたのは最初の数日。
グアテマラシティから買ってきた、メイドインコーリアの安い蕎麦のパックを食いちぎられたくらいならまだ許せたものの、
日本から送ってもらった「永坂更科 布屋太兵衛そば」にまで手(歯?)を出し始めたからたまらない。
ネズミ捕り一つじゃあやっぱり足りないと、朝イチで金物屋に飛んでいった。
店のご主人がまず出してきたのは、かまぼこ板にスプリングが付いている、間違ってでもそれを踏んづけた日には、ものすごい効果音とともに激痛が走りそうなデザインのバネ式のもの。
これなら一発でしとめられそうで頼もしくはあるけれど、血みどろになって息絶えているネズミを処理するなんて考えただけでゾッとするので、
ご主人お勧めのそれは止めて、やっぱり金網式のものを買うことにした。
これだと、籠の上からぶら下がっている餌をネズミが食いちぎった瞬間に、背後の扉がパタン!と閉るって仕組みで、ネズミの小さな心臓には悪いかもしれないが、少なくとも朝一番の流血騒ぎは避けることができる。
どうしてバネ式じゃ駄目なのかと聞かれて、「だって、死骸なんて見たくないじゃない」と言う私に、
「でも、捕まえたらちゃんと殺すんだよな?」と声を低めて念を押すご主人。
最初に捕まえた一匹は、夜中に近所の空き地に行って捨ててきただなんて、絶対に言えない雰囲気だった。
メイドの子にも呆れられた。
敬虔なクリスチャンで、普段から虫一匹も殺さないようなもの静かな彼女は、「でも、ネズミは別です。」と言い切った。
その一方で、普段から信仰心のかけらもないようなアメリカ人の我が主人は、「バッド・カルマ!」な理由で、ネズミは殺さないんだそうだ。
偉そうに言ってもなんだかなー、結局手を汚すのが嫌なだけなんじゃないの?
私も、人のことはあまり言えないけれど・・・。
トムとジェリーのジェリーくんは、チーズが好き。
金網の中にぶら下がっているフックには、もちろんチーズを付けておいた。
ところが、うちのネズミさんたちときたら、どういうわけかチーズよりも白い粉がお好き。
薄力粉、コーンスターチ、上新粉、ホットケーキミックス、天ぷら粉・・・。
ジップロックに入れておいたのに、結局みーんなやられた。
友人は、「ヤバイ粉でも入れて置いたら~?」なんて言うけれど、そんなもんはウチのキッチンにはありませんよっ!
それに、オーバードーズしたネズミなんて、考えただけでも始末に悪い。
ネズミは天下の周り物。早く大人しく籠の中のチーズを食べて、よそのお家へ貰われておくれ。

