雨季の始まり :パナハッチェルの場合
いまさら言うまでもないことだが、グアテマラというのは「ヘンテコリンな国」である。
特に、マヤの文化を濃く残す山間部、私たちの住んでいるパナハッチェル辺りなんかも、結構いい感じにキていると思う。
マシモンなんていう、ヘビースモーカーでヘビードリンカーな神様を信仰しちゃうし、
ガイジンにはちょっと理解に苦しむような、奇妙なテンションの祭りに盛り上がったりする人々。
数ある祭りの中で、かなり地味ではあるけれど、私が選んだこの街のベスト・オブ・ザ・祭り!、コルプスクリスティの季節が今年もやってくる。
いつもと変わらない様子の街の通りに、極彩色の羽飾りを頭に載せたオレンジと黒の縞模様が歩いていたら、即刻、物陰に隠れるに限る。
それに続いて、マスクをして全身を黒で身に包み、奇声を上げている男たちを目にしたら、
・・・うぉっと!全力でその場から逃げるべし!!!
こちらと目が合ったとたんに、水や小麦粉を浴びせかけ、悪さをして街を練り歩くのが、トラ+黒オトコたちなのだ。
祭りの日の午後、教会の広場では、珍妙な扮装をした男ばかりが集まり、フォークダンスもどきに興じる。
注目すべきは、その衣装のおバカ加減と、延々と続くダンスのつまらなさ。
ある友人によれば、彼らは山から街に下りてきたキチガイ達を演じているのだそうで、
その説の真偽はどうにしろ、実際に目にすると、それって、なんか妙に説得力があったりもするのだ。
しかも、そのキチガイ達、盛り上がるでも盛り下がるでもなく、楽しそうでも退屈している風でもなく、
ストーリーも何もないままに、ただ果てしなく、群集の前でフォークダンスを踊り続ける姿が、
メリハリの無さが身上のグアテマラっぽくて実にいい。
もちろん、こんなだらけた祭りを見に、普通、ガイジン観光客はわざわざやって来ない。
しかし、たまたまそこに出くわした観光客の度肝を抜くのは必至の祭り。だからこそ、ベスト・オブ・ザ・祭り、なのである。
ま、それにしても、地元っ子たちに混じってつい見入ってしまう私も、踊る阿呆に見る阿呆を地で行くアホだとは思うが。

スカートを履いているのも、胸に詰め物をしているのも、もちろん全員男性。

サンタさんの帽子に、何これ?・・・ミノムシ?

ね?このお御足はやっぱり男性でしょ?

ダンスの輪の中に入ってきたトラと、黒オトコ(左手前)。
この黒オトコが被っている緑色のマスクは、安物のプラスチックのボールを半分に切っただけのもの。
さすがはチープ・イズ・ザ・ベストのグアテマラ人、アイディア大賞ものだ。
この奇妙な風習の由来は、5人に聞けば5人とも違う答えが返ってくるのだが、例年ならちょうど雨季が始まっているこの時期ゆえに、
もともとはマヤの雨乞いの行事が、カトリックの祭事であるコルプスクリスティと一緒になったものではないかと私は見ている。
先週あたりから、どうも雨季に入ったらしいグアテマラ全土。
こちらの雨季は、午前中はカラリと晴れていたりして、日本の梅雨のような鬱陶しさはない、
・・・はずなのだけど、ここ数日は朝から晩までシトシトシト。
そこで、めったに見ない天気予報なんぞをチェックしてみたら、
キューバ付近にハリケーン崩れの巨大な尻尾、そして、メキシコ南部にハリケーン・バーバラ嬢がいらっしゃった。
今頃はきっとその辺りを旅しているはずの、友人のまっする女史はいかに・・・?
雨のみならず、ハリケーンまで連れてきた模様のトラくん達。
今年のコルプスクリスティは次の木曜だ。

