土曜の夜はタマーレを買いに
今これを読んでいるアナタへの、グアテマラ・ローカル度チェック!

この写真を見て思わず生唾が出ちゃったアナタ、
ほめ言葉かどうかはさておいて、骨の髄からグアテ人です・・・。
夕暮れ時の散歩途中で、急に思い立って入っていった初めての路地。
友人が言っていた、ちょっと美味しいタマーレを売るオバちゃんの家がここら辺にあるはずなのだ。
子ども達がボール蹴りをしている間をかいくぐり、家々の洗濯物まで丸見えの細い道を辿って、それらしくドアの開いている一軒に聞いてみる。
「今晩は!・・・タマーレありますか?」
「どうぞどうぞ」と招かれて入った、土壁がすすで真っ黒に汚れた小部屋では、
いかにもマヤ人らしい小柄なお祖母ちゃんが、直径一メートル以上は有にありそうな大鍋の前でタマーレ作りに奮闘中。
年老いた魔女が洞窟で毒薬のスープをぐつぐつと煮ている風景にも見えなくもなくって、思わず一歩退いた私たちの頭にコツンと当ったのが、
天井から吊り下がっていた自転車の輪っかに掴まっていたオウムくん。
「次回のタマーレの肉はこれですか?」と、ジョンが面白くもない冗談を言ったら、その無口なオウムくんは、かなりな目で睨んだそうだ。
よく一般には、とうもろこしの皮に包んだ黄色い小振りのものをタマーレと呼んだりするらしいが、とうもろこしの粉が原料なのは同じでも、この辺りでタマーレと呼ばれるはそれは全く別物。
ここでは通常、こうして緑の葉っぱに包まれて蒸された、固まったオジヤみたいなものを差すのである。
写真のこれは、鶏肉の他に、赤ピーマンとプルーンとレーズンがふんだんに入っている、ちょっと豪華バージョンだ。
観光客向けのレストランでも食べられるらしいタマーレだが、こっちに住んでいる人間の感覚としては、これはやはり自宅で食べるおふくろの味。
しかも通常、曜日限定の土曜のみで、売りに出されるのも夕方からのみという、レアものだ。
お祝い事があれば、必ずというほど出されるタマーレだから、日本のお赤飯の感覚にも似ていなくもないけれど、
でも、曜日に従って食べるものって、・・・日本にはあったっけ?
最初に、ローカル度チェックと言ったのにはワケがある。
実はこのタマーレ、ここに住むほとんどのガイジンは嫌いだったりもするのだ。
アングロサクソン系の人々には、どうも、ゲ☆状ごちゃ混ぜ系の食べ物は見た目からしても受け入れられないものらしい。
しかしそれに反して、正真正銘、マヤ人と同じくモンゴロイド系のワタクシ、実はこの味が結構好きだったりもする。
メキシコのサンクリストバルでも、衝動的に買いに走ったことがある。
土曜の夕方、四角い木組みに赤いセロファンを貼ったランタンが家の軒下につるされると、それが「タマーレあります」のサインだ。
夕闇に浮かぶコロニアルな街のあちらこちらに、ポッと灯る赤いランタン。
これって、なかなか風情があっていいなぁと思うのだ。

