天国への糸電話 :死者の日
ハロウィーンのパンプキンオレンジの後にやってくるのは、死者の日の花、マリーゴールドのオレンジ。
ここを訪れるガイジン観光客の多くは知らないようだが、11月1日の死者の日の午後、この街での一番のホットスポットは「墓地」だ。
市場で買ってきた一抱えもある花束をゆっさゆっさと頭の上に乗せ、
さながら歩く花アタマのようになりつつ、小さな子供の手を引いて町外れにある共同墓地へ向かうお母ちゃん。
続く、お父ちゃんが手を引いているのは、腰の曲がったジイちゃんやバアちゃん。
その周囲を歩く子供たちの手には、ブリキ缶の花瓶やらお掃除用具やらペンキ塗りの道具やら・・・。
そんな、家族総出の楽しげなお出かけ風景に導かれて私たちも墓地へ来て見ると、
墓地の入り口付近はもうすっかり屋台村の様相で、身動きもできないほどの賑わいだった。
ピザ、バーベキュー、ビール、フライドチキン、ホットドック、といったお決まりの屋台がひしめく間を縫って、
綿菓子を売る兄ちゃん、凧とピーピー笛を売るオジちゃん、ひとつ1ケツァール(15円)のアイスクリームを売るワゴンが徘徊する。
まるで、秋祭りの縁日のように心浮き立つ「墓場前」、なのである。
せっかくなので、墓地の正門前の食い物屋に陣取って、このグアテマラ的光景を楽しむことにした。
ジョンとアメリカ人の友達は、「おお~!これは、とってもフレッシュ・ミート!」とか言いながら炭火の焼肉をつついていたが、
私はそこまで悪趣味ではないので、とうもろこしのアトーレのみをオーダー。
この国民的飲み物は、普通はコーンスターチから作られる白い液体だが、
死者の日に出されるアトーレはもっと黄色くって、つぶつぶコーンが底に沈んでいたりする。
分かりやすく言えば、コーンスープのごく薄いやつ。
でもスープじゃなくってあくまでもドリンク!で甘め、・・・正直言ってマズかったっス★


共同墓地から少し行くと、突如、道は湖に突き当たる。
その湖畔では、この時期特有の強い風に煽られて、子供たちが色とりどりの凧を揚げていた。
日本ではお正月の風物詩である凧も、この国では10月半ばからこの死者の日までの限定モノだ。
天空に高く舞い上がる凧は、下界とあの世を繋ぐもの。
無くなった人達と自分たちとを結んでくれる、糸電話のようなものらしい。

ここのお墓の多くには、生前の故人の面影をしのばせるような絵が正面に描かれていて、それを見て周るだけでも面白い。
そのひとつに、小さく凧の絵が描かれているのを見つけた。
「いつまでも繋がっていましょうね!」そんな家族の思いが分かる、いい絵柄だと思った。


