クッキー・エクスチェンジ

用意される席は毎年決まって12席。
12×3で計36個のクッキーを、各自が家で焼いて持っていく。

毎年レベルの高い手作りクッキーを持ってくる主力メンバーの占める席以外は、年によって少々の入れ替わりもあるクッキー・エクスチェンジの会。
故に、年に一度のこの時期が近づくと、
「私は今年は入れてもらえるのかしら?」と、この街のガイジン主婦たちはちょっとソワソワしだしたりもする。

有閑マダムの香り漂うこのお茶会に、偶然にも入れてもらった最初の年から既に5回目の冬を迎えた私。
この辺りで唯一の日本人主婦であるというペット的珍しさが手伝って、これまで幸運にも不動の位置を占めている。
しかも去年の会では、作っていったクッキーがその年のベストクッキー賞に選ばれたのだから、今後の席も当分は安泰だと思うとホクホクだ。

「たかが主婦のクッキー交換会で・・・」
とでも言いたげな、非甘党のジョンの白い目をよそに、やっぱり私としては力が入るクッキー・エクスチェンジ。
だって、持っていったクッキーをみんなの前で披露して、全員と3つずつ交換し終えると、
手元のバスケットには12種類もの美味しそうな手作りクッキーがこんもりと乗っているのだ!
女性だったらきっと分かってもらえる、この幸せ感!

市販のクッキーにはない手作りの暖かさと、こっちは一体どんな味かな?と少しずつ摘み食いできる楽しみが、クッキー・エクスチェンジの骨頂だ。
カロリーの採りすぎに少々後ろめたく思いつつも、この街の12人の同志が今私と同じように食べているのを想像すると、罪悪感がかなり薄らぐという点もかなり◎。

私の隣の席に座った銀髪の美しい女性が、「クッキー・エクスチェンジは、ペンシルバニアでも盛んなのよ。」と話し始めた。
女性ばかりが集まっての優雅なアフタヌーンティーのひととき、
突然、部屋の隅にいた二人の女性が大声でつかみ合いの喧嘩を始めたのだと言う。

「アンタはどうしていつも、アタシに一番小さなクッキーを渡すのよっ!アタシは毎回ちゃんと見ていて知ってるんだからねっ!」

「へっ!それはね、アンタが『バターがたっぷり入っている』だなんて言っていながら、実はマーガリンしか使っていないってことを知ってるからよっ、このケチ!」

・・・さすがに、本場のクッキー・エクスチェンジは壮絶である。
アメリカ人相手にバターだけはケチるまい、と肝に銘じた私であった。

クリスマスクッキー

ベストクッキー賞を頂いた「クリームチーズクッキー」のレシピの元ネタはこちら。
クリームチーズのクッキー

クリームチーズを練りこんである生地に、くるみ、黒砂糖、チョコレート、シナモンパウダーを振って、クロワッサンのようにくるりと巻く。
このコンビネーションで不味いわけがないよね?

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