ナイト・フルーツ・マーケット

生鮮市場でのお買い物は、朝一番に出かけるべし!
仲買人のトラックは朝の3時半頃から荷を降ろし始めるし、山を越えた奥地からめずらしい旬モノを背中にしょってやってくるオバちゃんの品なんて、目ざとい主婦たちに早々と買われてしまうのだ。

がしかし、そんな定石を覆すのが、土曜のナイト・フルーツ・マーケット。
そろそろ陽も暗くなる夕方5時を過ぎると、特大のバスケットに山と積んだフルーツがマーケットの道端にズラリと並ぶ。

売っているのは、日ごろこの辺りで見る山岳系の女性たちとはちょっと違った風貌の人たちだ。
この近辺の女性達のように民族衣装は着ていない代わりに、全員が付けている可愛らしい前掛け。
短いスカートとタンクトップからのぞく手足が、皆一様にボンレスハム級のたくましさを持つ彼女達は、蒸し暑い海岸地方から何時間もトラックに揺られてやってくる。

翌日曜は、私達の住むパナハチェル最大のマーケットの日。
湖の周辺に点在する村々はもとより、山向こうからも続々とやってくる人々で賑わうこの日曜市で売られるべく、はるばる海の方から運ばれてくるフルーツたちは、
ちゃんと早朝にお目見えできるように、その前日からこの街にお泊りするわけで、
となれば、どうせ手元にあるのなら夜でも売っちゃおう!と考えるところが、寸暇を惜しまぬグアテマラ人らしい。

一年を通じて売られているのは、スイカとバナナとパイナップル。
私が愛するマンゴーは、6種類ほどあるうちの、旬の前半のみ見られる数種類はもうとっくに姿を消して、いまや終盤戦だ。
蜂蜜がかった甘さのある、グアテマラ人が大好きな「マンゴーdeレチェ(ミルクのマンゴー)」と、ジュースにするのに適している繊維質の少ない、丸いボール型のマンゴーがこの時期の人気もの。

ミルクのマンゴー

マンゴー

しかしそんな人気者の陰で、実は多くのグアテマラ人が好きなケッタイなフルーツもある。
パテルナという名のそれは、見た目は巨大なソラマメのさや。
でも、かなり硬いさやを指先で割って開くと、一列に並んだ種は白いコットンのようなものに覆われていて、ほのかに甘味のあるその部分を種ごとクチャクチャと噛んだ後、最後にプッと種を口から吹き出すのだ。
私は特に好きでもないフルーツなのだが、グアテマラ人の友人の中には、これを積んだトラックの前は素通りできないというファンもいる。
そんな心情と、どう関係あるのかは知らないが、パテルナ(paterna)はスペイン語のお父さん(padre)と語源を同じくしていて、この単語を形容して「父親として無責任なオトコ」というフレーズにも使われるというから不思議だ。

そのパテルナとは兄弟筋にあたるのが、これは地元っ子でもちょっと見るのはめずらしいグアピノールという、痔の薬のような名前のフルーツ。
ただし、こちらの外見は茶色で、マヤの伝統療法では痔ならぬ解熱薬としても使われるらしい。
殻に鼻を近づけて匂いをかげば、かすかに香る革靴の中敷の匂い。
しかも、殻は超~固くって、トンカチを使わないと開かないとは何てヤツ。

グアピノール1

で、さっそく買ってみた。
殻のかけらをほじくり出して、中から出てきた白いコットンならぬ黄色い粉末状のものを恐る恐る口に入れてみる。
期待のお味の方はと言えば、まぁなんと形容したらいいものか、
昔懐かしいラムネのキャンディー、そう、水玉模様のセロファンにラップされていて、口に入れると固まっている白い粉がすーっと溶ける例のやつ、
あれの、しかしこれが、サツマイモ味なのだ!

つ・ま・り、
・・・誰が好きなんだろうか、こんなもん。

グアピノール2
台所の外でなぜに日曜大工?

この街にも、もうすぐ雨季がやってくる。
雨の季節になると、実の中に虫がつきやすい果物が多いので、市場で売られる種類もまた変わってくる。
それはそれでまた楽し!、のフルーツマーケットなのである。

コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

このコメント欄のRSSフィード トラックバック URI

コメントをどうぞ

改行と段落タグは自動で挿入されます。メールアドレスは表示されません。利用可能なHTMLタグ : <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong>

(必須)

(必須)