国際結婚
ここは中南米。とある小さな国のお話。
アメリカ人の知り合いが、現地の女性と結婚した。
彼はもう白髪も目立つ年齢で、彼女は20代後半かといったカップル。
若い頃に旅をしていてこの辺りを気に入り、定年後にこの土地に腰を落ち着ける欧米人の独身男性も多いので、こうした例は珍しいことでもない。
確かに、長年アメリカで強~い女性達に囲まれて生活してきた男性にしてみれば、ここの女性の、封建的で家庭的な面はある種魅力的なのかもしれない。
もちろん結婚した本人同士は、純粋に愛情に結ばれて夫婦になったのだと私は信じているけれど、
女性側の家族にしてみたら、お金持ちのガイジンの所へ嫁に行ったとは何と孝行者じゃ、という喜びもある。
この土地に暮していて時折感じるのは、地元の人達の考えの根底にあるガイジンと自分達との関係は、パトロンとその庇護を受ける者との関係にも似ているということ。
だからといって、決して自分達を卑下している訳ではなく、お金のある人が無い人に分け与えるのは当然とする気持ち、とでも言おうか。
結婚した彼は、ガイジンとしては特別にお金持ちという訳でもないのだが、退職金でつましい家庭を築いていこうと、まぁ贅沢でもなく悪くもなくといった一軒家を借りた。
ところが、彼女の家族にしてみればそんな家でもガイジン宅の御殿に見えるのか、連日、彼女の兄弟の家族やら、従兄弟の家族やら、何やら分からない関係の家族やらがお祝いにやって来て、彼の家にあるアルコールのボトルを開け、冷蔵庫の中身を空にしていく。
でも、ガイジンという身分で、しかもずっと年上の彼にしてみれば、彼女の家族が自分を喜んで迎え入れてくれたことは嬉しいし、たかが飲み食いだけで目くじらを立てるのも大人気無いし。
…そんなこんなで月日は流れ、買い捲った食料品の量に反比例して預金通帳の金額は少なくなっていき、とうとう底をついた時点で、堪らず彼女に事情を告げたそうだ。
すると程なくして、彼女の兄弟の家族やら、従兄弟の家族やら、何やら分からない関係の家族やらが、そりゃあ大変だろうと手に手に野菜やなんかを沢山持って連日やってくるようになった。
彼は、皆なんていい家族なんだ!と感激して涙したとかしないとか…。

