子沢山の国のヒミツ

ここは中南米。とある小さな国のお話。

ドーン!という爆発音と共に、突然目の前に下りてきた真っ暗闇。
時は夜の11時半、B級アメリカ映画を見ていたジョンは、ご機嫌斜めでキャンドルを点けに立ちあがった。

どうやら今回は川向こうの変電器がショートしたらしい。

停電は英語で言うとブラック・アウト。この国にはブラウン・アウトもある。

部屋の電球の光がしゅ~っと弱くなって、でもなんとか持ちなおそうとまた頑張って少し強くなって、それでも力尽きてしゅ~っと弱くよわ~くなって、やがてとうとうこと切れてしまう。
そう、言って見れば線香花火の最期の輝き?

私が小さかった頃は日本でも停電なんてものがあったけれど、大人になってからはそんな言葉さえも忘れて生活していたのが、ここへ来てからまたそんな日々に逆戻り。

でも、これでも10年も前に比べると格段によくなっているんだそうな。

電気会社の悪戦苦闘の末に、電気が戻ってきた瞬間、普通以上に強い電流が流れる時もある。
それで電球の球がピンッと切れる、昔は実際にパリンッと割れたそうだ。

そんな状況が電化製品にいい訳がない。
だから、うちのコンピューターたちは、サーキット・ブレーカーやら何やらを沢山つけて、いつも完全武装状態。

ストレスがつのるばかりのこの国の電気事情だけど、ひとつだけいいことと言えば、この静寂。
例え静かな夜中であっても、実は街の中には低周波の生活音というものが充満しているんだと思う。
それが、ぴたりと止んだ時の静けさ。これは、自分でも知らないうちに張っていた精神が、ふう~っと休まるような気持ちよさ。

あれもしなきゃいけない、これもしなきゃいけない、ああ忙しいと過ごしていたことが何も出来なくなって、突然やってきた余った時間、音のない空間、暗闇の中の自分・・・。

この国の人の子沢山には、電気会社が一役買っているというのは、ここでは周知の事実だ。

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