停電の夜に

海外に長く住んでいて日本からもらって嬉しいものは、やっぱり食べ物、そして本。

日本にいた当時は、ブックオフの100円均一コーナーにもそれ程食指は動かなかったものが、
今では、端から端までぜ~んぶ買い占めたいくらい、日本の活字欠乏症だ。

そんな状況の下ではとっても貴重で嬉しいことに、日本の本をたまに郵便で送ってくれる友人がいる。
彼女が読み終わった本だから、必ずしも自分の好みのジャンルではなかったりするのだけど、でもそこがまた新鮮で面白い。

最近彼女が送ってくれたのが、デビュー短編集が栄えあるピュリツァー賞となった作家、ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」。

私が以前このブログで書いた、こちらの国の停電事情に思い当たって選んでくれたのかどうかは分からないけれど、
巻頭に収録されている、この本のタイトルと同名の短編は、キャンドルライトで向き合う二人の距離感が不思議に縮まってくる停電の夜の物語。
最後の結末が、一緒に住む伴侶のいるカップルにはかなりキツ~イけれど…。

でも、都会のノイズがふと止んで、突如暗闇の中に身をおく羽目になった時の身の置き所のなさや、それが時間とともに転じて心地よさに感じる空気というのはよく分かる。

文字通り「停電の夜に」でも読みたい短編なんだけど、そう期待するとなかなか停電はしなかったりして…。

表紙のデザインが美しくて、本屋に平積みでもしてあったら、きっと目が留まるはずのこの本。
表紙の写真の意味するところは、読めば明快に浮かび上がってくる。

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