これってグアテマラ版のお節かも :フィアンブレを作る

雨が一滴も降らない小春日和が3日ほど続いたなと思ったら、その間に天気の神様は胸いっぱいに上空の空気を吸い込んでいたらしく、
それを思い切りグアテマラの頭上に吹き散らしたがごとくの、暴れ風日和のここ数日。
この国の雨季はこうして唐突に終わり、近づいてきた凧揚げの日に合わせるかのように、北風小僧がやってきたのだった。

来る11月1日は死者の日。
あの世にいるご先祖様と家族が出会う日だなんて、つくづく日本のお盆と同じような風習だと思うのだが、
グアテマラの家庭では、特別なその日にだけ食べる「フィアンブレ」と呼ばれる料理を女たちが前日から時間を掛けて拵えるのだと聞くと、
これはお盆に日本のお正月も足したような大イベントなのかなとも思ったりする。

「フィアンブレ」のベースとなる食材は、ざく切りのキャベツだ。そこに、削ぎ切りにした人参とインゲンを入れて、例の野菜ビーツの煮汁で煮る!
赤紫色の野菜に茹で上げるところが、この料理のミソなのである。
茹で上がった野菜は、お酢にニンニク、玉葱、タイム、塩少々と砂糖を加えてカラメル状に風味をつけたマリネ液を熱いうちに回しかけて、一晩漬け込んでおく。
マリネした野菜にはその他に、パカヤと呼ばれるこちら特有の木の花の穂先や、こちらの人たちが大好きなウィスキルという瓜のような野菜も入っていて、人によっては、好みでソラマメやカリフラワーなんかも入れたりするらしい。
もちろん、ビーツも沢山入っている。

フィアンブレを作る1
ご存知ビーツ、日本語では砂糖大根と呼ばれるくらい甘味がある。

フィアンブレを作る2
これがパカヤ、独特の食感がある。エグ味があるので、何度か茹でこぼしながら煮るのダ。

フィアンブレを作る3
野菜をひたすら切り刻む。料理する量が多いから下ごしらえも大変。

フィアンブレを作る4
マリネ液を煮立てる。お酢ベースだけど強くは利かせず、まろやかな感じ。

一夜明けて当日の11月1日、女たちはさらに大忙しだ。
市場に行って墓地に飾る花も買わなきゃいけないし、爺ちゃん婆ちゃんや小さな子ども達の手を引いて街の共同墓地へ行き、お墓を綺麗に磨かなきゃいけない。
そしてそれと同時進行で進めるのが、家族で食べる大切なフィアンブレの準備ときた。
冷たいままで出す料理だから、火に掛ける手間はないものの、ビーツ色に染まった野菜を皿に取り分けた上に乗せる食材が盛りだくさんで、それぞれ用意するにも結構時間が掛かるのである。

家庭によって、何を乗せていくかは多少異なるそうだが、まぁオーソドックスなところを書くと、
種類の異なるソーセージのスライス、炭火焼したチキンを細かく裂いたもの、ハム、チェダーチーズ、粉末状のグアテマラチーズ、カリフラワー、緑と黒のオリーブ、ゆで玉子、ベビーコーン、パセリ、パルミートと呼ばれる椰子の木の若芽の芯、ラディッシュ、レタス、茹でた海老、辛味の強いししとうのような青とうがらし。

フィアンブレを作る5
キッチンの片隅では、グリーントマトソースに漬け込んだチキンが炭火で焼かれていて、いい匂い!

見た目をそれほど重視しない多くのグアテマラ料理の中にあって、この「フィアンブレ」はかなり彩りに気を配った料理だ。
そんな華やかなところは、日本のお節にも少し似ていると思う。

そう言えば、女たちが寄り集まって時間を掛けて準備するところもお節と同じ。
なんと言っても大家族なグアテマラだもの、大鍋いっぱいのキャベツに各種野菜を煮込むにしても、作る量が半端ではなく大仕事なのだ。

フィアンブレを作る6
今回作ったのは約8人前。それでもカウンターに載せきらない量になってしまったフィアンブレの食材。

この日が近づくにつれ、食材の値段が上がるところも、年の瀬の日本と同じ。
数人前だけ作るにはやたらに手が掛かるので、最近では仕出しを予約しておいたり、レストランで買ったりする人が多いのも、日本のお節事情と似ている。
そして、毎日は決して食べたくないけれど、この日にこの料理を食べないとなんとなく物足りなく感じるところも同様。
それから、これを書きながら思ったのだが、作り方を知っていたからといっても、よその国では材料が揃わなくって決して同じものは作れないところも、お節と同じではないかいな?

というわけで、今回は「日本では作れないグアテマラ郷土料理」なので、レシピななし。
皆さん、どうか写真だけで我慢してねぇ!

フィアンブレを作る7
ようやく出来たぞ!これがフィアンブレ。さぁどうぞブエンプロベチョ!(召し上がれ!)

次回は、「ジャイアント凧を見に行く」デス。
グアテマラの死者の日名物の巨大凧揚げを見てくるぞ!

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